
高校生の頃だったでしょうか。
大人になった私が、海の見える小さな駅に降り立つ。
そんな夢を見たのです。
どういう訳か、その夢のことをずっと覚えていました。
時は流れて、2023年の春。
私は常磐線の特急ひたちに乗り、仙台方面に向かっていました。
いわき駅を出てから暫くして、列車は山あいの区間に差し掛かります。
いくつかのトンネルを抜けた先、視界が突然開け、小高い築堤の上にホームがある、小さな駅に出ました。
列車は少しだけスピードを緩めて、通過していきます。
ホームの向こうには、朝日にきらめく太平洋が見えました。
その景色は、駅名こそ違えど、夢で見たあの駅にそっくりだったのです。
後で調べて、そこは福島県いわき市の北端にある「末続(すえつぎ)」という駅だと知りました。
それからずっと、この駅が気になっていたのですが、なかなか降り立つ機会がありませんでした。
そして今回、ようやく夢の答え合わせに行くことができました。
私の住む水戸からは普通列車で2時間程度。
本数は少ないですが、乗り換えなしでも行くことができます。
手前のいわき駅で多くの客は降りてしまい、車内は閑散としました。
草野、四倉、久ノ浜と3つ駅を過ぎた後、列車は末続駅に到着しました。

乗ってきた列車は次の広野駅が終点です。
見送ると、汽笛が何回か聞こえ、辺りは閑かになりました。

ホームからはすぐ近くに海が見え、遠くに貨物船が浮かんでいるのが見えました。
薄曇りなのでコントラストが低めですが…

跨線橋を渡り、上り側のホームに行ってみます。

いわき方面。短いトンネルが見えます。


こちら側のホームからは、より近く海が望めます。
駅は花々で彩られています。


軒下に園芸グッズが置いてありました。地元の方が管理しているようです。
木箱は年季が入っていそうですが、もともと何の用途だったのでしょうか。

海を見ながらくつろげるデッキもありました。

駅舎に入ります。
待合室には、現代的な液晶表示の時刻表もありつつ、駅を紹介する展示はノスタルジックです。

「末続駅舎新設風景写真」として、古い写真が2枚飾ってあります。
末続駅は昭和22年開業ですが、駅舎やホームを作った当時の写真のようです。
写真の寄贈者の方の苗字に驚きました。
夢で見た駅の名前と同じだったのです。あまり多い苗字でも無いので、不思議な一致だと思いました。

かつての切符売り場の窓口に、訪れた人が思いを綴る「駅ノート」が引っかけてありました。(もちろん、私も書きました。)
窓口の中を覗くと…



駅員室は一時的にカフェとして利用されていたようです。


駅舎の外観です。2本のシュロの木が良い味を出しています。

ホームの下をくぐって海側に行ってみます。
末続川という小さな川が流れており、上流方向にも住宅が点在しているのが見えます。
海に向かって開けた谷地形の中にある集落であることが分かります。
駅の南東側にある岡の上の住宅地に来ました。

こちらの住宅地は比較的新しい家が建っており、別荘のような趣の建物もあります。

教会のような塔が印象的な建物が突然現れました。

掠れた看板には「岬学園 かもめパン工房」と書かれていました。
現在は営業していない様子です。
お昼は下調べしていた「すえつぎカフェ」さんでいただきました。


静かでほのぼのとした雰囲気のカフェです。
美味しいスパイスカレーとコーヒーをいただきました。
「電車で来られたのですか?」と尋ねられ、末続駅に興味を持って降り立ったことをお話しました。
海へ降りていける急な階段を見つけました。
入口には密漁禁止の看板がありました。

こちらは末続川の河口に近い海岸。右の山裾に見えるのは「末續寺」です。


駅まで戻ってきました。
ホームに入ってくる普通列車にカメラを向けると、ライトの光芒の滲み方に違和感がありました。

レンズを確認して気がつきました。
広角レンズに星を撮影したときに使用したソフトフィルター(※)が着けっぱなしだったのです。
※星を撮影するときに使用すると、通常は点にしか写らない星が滲んで大きく写り、見映えがよくなるフィルターです。
どうりで写真がもんやりしているなぁと…。
でも、これはこれで夢の中のようで良いかもしれません。

夢の答え合わせをするような、良い旅になりました。


























































































































