県央地区のとある池を訪れました。
周囲にはかつて湿地が広がっていたようですが、現在は公園になっています。
しかし、周辺から水が集まり、滞水しやすい土地の性質自体は変わっていません。
利用率低めな感じの野球グラウンドも、大雨が降ると浅く水が溜まり、湿地の姿を取り戻します。
靴が浸水してしまうので、長靴に履き替えました。車に積んでおいて正解でした。
芝の間に、白く小さな花がちらちらと咲いています。
ヒメナエです。
日本には仲間が少ないマチン科の野草。湿地の小さな住人です。
こんなに小さい。
なんて端正な形であることか。花の中にはほさほさと毛が生えているようです。
果実。雌蕊の先端は1つなのに、途中で2つに分かれて果実にくっついている奇妙な構造です。
ヒメナエは茨城県版のレッドデータブックでは絶滅危惧ⅠB類に指定されています。
日当たりの良い湿地(大型の植物が繁茂していない湿地)を好みますが、そのような環境は開発や植生の遷移により減少しています。
この場所は定期的に芝刈りされ、ヒメナエにとって理想的な環境になっているのでしょう。
淡い色になっている部分は全てヒメナエです。
今のところは個体数も多く、安定した群落を作っています。
管理方針が変わって除草剤が使用されたりしないと良いのですが。
グラウンドの横の窪地には、イトイヌノヒゲが生えていました。ホシクサの仲間です。
総苞片(花びらみたいな部分)は半透明でセロファンのようです。
他にもイヌノヒゲ類が生えていました。
ニッポンイヌノヒゲかイヌノヒゲのどちらかだと思うのですが、自信がありません。
サワトウガラシ。もともと水田雑草ですが、見かける機会は多くありません。
小さな草体の割に大きめの花が咲きます。
キバナノマツバニンジン。北アメリカ原産の帰化植物でアマの仲間です。
黄色の可愛らしい花を咲かせますが、午後の短い時間しか開きません。
グラウンドの奥はなんだか良い感じがする草原になっています。
ノアズキ。花は終わりでした。
星が連なるようにナガバクロカモメヅル。ここにもあったとは。
池のほとりを歩いてみると…
ミズオトギリがありました。
黄色の花が多いオトギリソウの仲間には珍しく、ピンク色の花を咲かせます。
花は午後3時過ぎから開くようです。(花が開くまで待ちました。)
ムカゴニンジン。初めて見ました。
名前の通り、葉腋にムカゴができます。
全体的に細く繊細な草姿なので、視界に入っていても見つけにくい場合があります。
何かの卵が付いていました。セリ科なのでキアゲハあたりでしょうか。
また、面白い場所を見つけました。
これからも時々見に行こうと思います。
ひたすら暑かった夏でした。
天気の週間予報によると、今週後半は涼しくなり、残暑も一段落するようです。
爽やかな秋空の下、散歩ができるのが楽しみです。
【おまけ】
職場近くで今年もアイナエが咲いています。
上で紹介したヒメナエと同じマチン科の野草です。
花の中には縦縞が入っています。
果実はヒメナエと同様の構造です。
名前の由来はアイ(藍)の苗に似るからアイナエとの説もあるそうですが、よく分からないようです。