カラスとスローガン

小さな世界から

湿地の記憶

県央地区のとある池を訪れました。

周囲にはかつて湿地が広がっていたようですが、現在は公園になっています。

しかし、周辺から水が集まり、滞水しやすい土地の性質自体は変わっていません。

利用率低めな感じの野球グラウンドも、大雨が降ると浅く水が溜まり、湿地の姿を取り戻します。

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靴が浸水してしまうので、長靴に履き替えました。車に積んでおいて正解でした。f:id:saiwai326:20230918191057j:image

 

芝の間に、白く小さな花がちらちらと咲いています。

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ヒメナエです。

日本には仲間が少ないマチン科の野草。湿地の小さな住人です。

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こんなに小さい。

百均で買ったスマホマクロレンズで拡大してみました

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なんて端正な形であることか。花の中にはほさほさと毛が生えているようです。

 

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果実。雌蕊の先端は1つなのに、途中で2つに分かれて果実にくっついている奇妙な構造です。

 

ヒメナエは茨城県版のレッドデータブックでは絶滅危惧ⅠB類に指定されています。

日当たりの良い湿地(大型の植物が繁茂していない湿地)を好みますが、そのような環境は開発や植生の遷移により減少しています。

この場所は定期的に芝刈りされ、ヒメナエにとって理想的な環境になっているのでしょう。

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淡い色になっている部分は全てヒメナエです。

今のところは個体数も多く、安定した群落を作っています。

管理方針が変わって除草剤が使用されたりしないと良いのですが。

 

グラウンドの横の窪地には、イトイヌノヒゲが生えていました。ホシクサの仲間です。
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総苞片(花びらみたいな部分)は半透明でセロファンのようです。

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他にもイヌノヒゲ類が生えていました。f:id:saiwai326:20230919154342j:image

ニッポンイヌノヒゲかイヌノヒゲのどちらかだと思うのですが、自信がありません。

 

サワトウガラシ。もともと水田雑草ですが、見かける機会は多くありません。

小さな草体の割に大きめの花が咲きます。
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キバナノマツバニンジン。北アメリカ原産の帰化植物でアマの仲間です。

黄色の可愛らしい花を咲かせますが、午後の短い時間しか開きません。
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グラウンドの奥はなんだか良い感じがする草原になっています。

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ノアズキ。花は終わりでした。f:id:saiwai326:20230919161407j:image

星が連なるようにナガバクロカモメヅル。ここにもあったとは。

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池のほとりを歩いてみると…

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ミズオトギリがありました。

黄色の花が多いオトギリソウの仲間には珍しく、ピンク色の花を咲かせます。

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花は午後3時過ぎから開くようです。(花が開くまで待ちました。)


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ムカゴニンジン。初めて見ました。

名前の通り、葉腋にムカゴができます。
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全体的に細く繊細な草姿なので、視界に入っていても見つけにくい場合があります。

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何かの卵が付いていました。セリ科なのでキアゲハあたりでしょうか。

 

また、面白い場所を見つけました。

これからも時々見に行こうと思います。

 

 

ひたすら暑かった夏でした。

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天気の週間予報によると、今週後半は涼しくなり、残暑も一段落するようです。

爽やかな秋空の下、散歩ができるのが楽しみです。

 

【おまけ】

職場近くで今年もアイナエが咲いています。f:id:saiwai326:20230919205549j:image

上で紹介したヒメナエと同じマチン科の野草です。

花の中には縦縞が入っています。

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果実はヒメナエと同様の構造です。

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名前の由来はアイ(藍)の苗に似るからアイナエとの説もあるそうですが、よく分からないようです。
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